オンライン診療のガイドライン(厚労省HP引用)

オンライン診療のガイドラインは、医療アクセスの向上と効率化を目的としていますが、安全性や信頼性の確保も不可欠です。ここでは、厚生労働省が提供する指針を基に、オンライン診療の基本方針と、通所介護事業所や職場といった「療養生活の場」での利用方法を解説します。

背景と目的

オンライン診療は、医療機関に行けない場合でも診療を受けられる利便性を提供しますが、対面診療とは異なるリスクもあります。そのため、患者と医師の信頼関係を築き、診療の質を保つために、厚生労働省は診療実施時のガイドラインを定めています。

診療実施の基本指針

  1. 信頼関係の確立
    オンライン診療においても、医師と患者の信頼関係が重要です。これは、対面診療と同等の診療内容の正確さと安全性を保つためであり、特に診療開始時には十分なコミュニケーションが推奨されています。対面診療と並行してオンライン診療を行うことで、患者と医師の間に信頼が生まれやすくなることが期待されます。
  2. 患者の同意と説明責任
    オンライン診療を行う場合、医師は事前にメリットとリスクについて患者に十分な説明を行い、合意を得ることが求められます。特に、オンライン診療の限界や、対面診療が推奨される場合もあることを明示し、患者が情報を得た上で選択できるようにすることが重要です。
  3. 診療内容の記録と保存
    オンライン診療での診療内容は適切に記録・保存することが求められます。これにより、診療時のトラブルが発生した場合や医療監査の際にも証拠を提供することができます。適切な記録保持は、医療の質を保ち、患者と医師双方の安心を確保するために不可欠です。

技術的要件

オンライン診療の円滑な実施には、適切な通信環境が欠かせません。安定したインターネット接続や、通信の暗号化など情報保護の対策が必要です。さらに、医療データの管理においては、厚生労働省の基準を満たす強固なインフラが推奨されています。通信が途切れない環境を整えることで、診療の途中で連絡が取れなくなるリスクを減らし、診療内容が正確に伝わるようにします。

療養生活の場でのオンライン診療

ガイドラインにおいて、患者の居宅以外の「療養生活の場」として、職場やデイサービスなどでのオンライン診療も特定条件下で許可されています。

  1. 長時間滞在する場所としての認可
    職場や通所介護事業所、学校など、患者が長時間滞在する場所であれば、居宅と同様にオンライン診療の場所として認められる場合があります。たとえば、デイサービスに長時間通う高齢者がその場で診療を受けることも可能です。
  2. 医療提供の制約
    通所介護事業所などでオンライン診療を行う場合、同施設が医療提供を行っているわけではないことを利用者に明確に説明する必要があります。特に、施設のスタッフが診療に直接介入することや、通常の医療機器を使った医療行為を行うことは認められていません。医療補助行為を行う場合や、医療機器を使用する場合は、別途診療所としての届け出が必要です。
  3. 緊急対応体制と責任分担
    職場やデイサービス、学校内でオンライン診療が実施される場合、医師はその場所の適切性を確認するとともに、急変時に備えた緊急対応体制が必要です。また、学校などで診療を行う場合は、学校側の許可を得て、業務に支障をきたさない範囲で行うように指示されています。
  4. 介護保険外サービスとしての利用
    通所介護事業所などでオンライン診療のサポートを行う場合、これは介護保険外サービスとして区分され、事前に利用者の同意を得る必要があります。これは、介護サービス提供時間外に機器の使用やサポートを行う際の指針です。

薬剤管理の方針

オンライン診療で処方された薬の管理も重要です。診療後、医師は患者が薬を適切に使用できるようフォローアップを行うことが求められます。患者が適切に薬を使用するためには、薬の用法を理解し、医師がその後の症状や効果を確認することが推奨されます。

まとめ

厚生労働省のガイドラインは、オンライン診療が安全かつ効率的に普及するために設けられており、患者の健康と安全を最優先にしています。オンライン診療が適切に導入されることで、地域や通院が難しい患者にもアクセスしやすい医療環境が提供されることが期待されています。また、デイサービスや職場などの「療養生活の場」でも適切な条件のもと診療が可能となり、医療へのアクセスがさらに向上します。詳細は厚生労働省のガイドラインPDFをご参照ください。

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